ベトナム採用市場2026年|企業の採用活動は拡大へ、人材獲得競争が激化

ベトナム採用市場2026年|企業の採用活動は拡大へ、人材獲得競争が激化
著者:Valerie Ong(バレリー・オン)Reeracoen Group Regional Marketing Manager
ベトナムの採用市場における2026年の課題は、採用ニーズの低下ではありません。
企業が直面している本当の課題は、必要な人材をどのように、どれだけ早く採用できるかという「採用力」にあります。
これは、Reeracoen Vietnamが2026年3月に実施した「Vietnam Employer Hiring Study 2026(ベトナム企業採用動向調査2026)」で明らかになった主な結果の一つです。本調査は、ベトナム国内の主要産業に属する51社の企業を対象に実施しました。
調査からは、多くの企業が事業拡大に向けて採用意欲を高めている一方で、採用予算、人材不足、競争激化など、採用活動を進めるうえでさまざまな課題を抱えていることが分かりました。
ベトナムで事業を展開する企業の経営者、人事担当者、採用責任者にとって、本調査の結果は2026年の採用戦略を検討するうえで重要なポイントとなります。
最大のポイント:10社中7社が採用拡大を予定
2026年の採用見通しは、全体として明るい結果となりました。
調査対象企業の69%が、2025年と比較して採用活動を拡大する予定であると回答しており、そのうち14%は大幅な採用増加を見込んでいます。
一方で、人員削減を予定している企業は10%にとどまりました。
この結果は、企業が単に現状維持を図っているのではなく、今後の事業成長に向けて積極的に人材確保を進めようとしていることを示しています。
背景には、継続的な海外直接投資(FDI)の流入、各業界で進むデジタル化、そしてベトナム国内の製造業・サービス業における事業拡大があります。
ただし、採用需要が高まる一方で、人材獲得競争はより激しくなっています。調査結果を詳しく見ると、ベトナムの採用市場には企業が対応すべきいくつかの課題が浮かび上がっています。
ベトナムの人材市場を形成する5つの構造的課題
1. 採用拡大と予算のギャップ:採用数は増える一方、採用コストへの対応が課題
2026年に採用人数を増やす予定の企業は69%に達しています。
一方で、採用予算を増額する企業は43%にとどまり、47%の企業は予算を据え置き、10%は削減を予定しています。
つまり、多くの企業は限られた採用予算の中で、より多くの人材を確保すると同時に、候補者の給与水準の上昇にも対応する必要があります。
採用ニーズが高まる一方で、採用にかけられる費用や体制が十分でなければ、優秀な人材の獲得競争で他社に遅れを取る可能性があります。
2. 給与水準の上昇と人材定着への影響
企業の86%が、採用における最大の課題として「候補者の給与期待値の上昇」を挙げています。
また、84%の企業が新規採用者の給与を引き上げる予定であると回答しています。
一方で、33%の企業は給与競争を人材定着における最大のリスクとして認識しています。
給与水準の上昇は、採用コストの増加につながるだけでなく、既存社員の待遇見直しや人材流出にも影響を与える可能性があります。
企業にとっては、採用時の給与設定だけでなく、社員が長く働き続けられる環境づくりや報酬制度の見直しも重要な課題となっています。
3. ミドル層人材の不足が深刻化
企業の39%が、ミドルマネジメント層(中間管理職)の不足を主要な採用課題として挙げています。
特に採用が難しいのは、未経験者や若手人材ではありません。
企業が求めているのは、一定の経験や専門性を持ち、入社後すぐに活躍できる即戦力人材です。
採用難となっている主な職種は以下の通りです。
- 製造エンジニア(35%)
- 営業職(35%)
- 工場スーパーバイザー(33%)
- IT・AI人材(31%)
事業拡大を進める企業にとって、現場を支える経験豊富な人材や、チームをマネジメントできる人材の確保が重要な課題となっています。
4. デジタルスキルへの対応が急務に
企業の73%が、今後強化すべき人材育成分野として「デジタル・AI関連スキル」を最も優先度の高い項目として挙げています。
これは、以下の項目を上回る結果となりました。
- リーダーシップ育成(51%)
- 英語コミュニケーション能力(37%)
デジタルスキルは、以前のように一部の専門職だけに求められる特別な能力ではなくなっています。
現在では、多くの職種において業務効率化や生産性向上を実現するための基本的なスキルとして、企業から求められるようになっています。
5. 採用パートナーに求められる役割が変化
企業が採用支援会社に求める役割は、単なる候補者紹介から、より専門的な採用支援へと変化しています。
企業が採用パートナーに期待する主な支援内容は以下の通りです。
- より迅速な候補者紹介(80%)
- 給与相場や採用市場に関する情報提供(69%)
- 企業文化との適性を確認した事前選考(49%)
これまでのように、多くの履歴書を紹介するだけの採用支援では、変化の激しい人材市場に対応することが難しくなっています。
今後は、企業の採用背景や課題を理解したうえで、適切な人材を迅速に提案し、市場データをもとに採用戦略を支援できるパートナーの重要性がさらに高まっていくと考えられます。
企業が候補者に求めるポイント
2026年における候補者選考の主な判断基準は以下の通りです。
-
実務経験(82%)
-
長期的な就業意欲・定着可能性(71%)
-
企業の予算に合った給与水準(61%)
-
企業文化やマネジメントスタイルとの適合性(49%)
-
英語力(39%)
今回の調査で特に注目すべき点は、71%の企業が「長期的な就業意欲」を重視していることです。
企業は単にスキルを持った人材を採用しているだけではありません。
採用後の離職リスクを考慮し、長く組織に貢献できる人材を求めています。
定着:採用におけるもう一つの重要な側面
今回の調査では、2026年における人材定着リスクとして、以下の5つが明らかになりました。
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給与競争(33%)
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若手人材の転職志向(24%)
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キャリアアップへの期待(20%)
-
ワークライフバランスへの要求(14%)
-
管理職のマネジメント能力不足(10%)
これらの課題には、それぞれ異なる対応が必要です。
すべての人材層に対して、単に給与を引き上げるだけでは、十分な解決策にはなりません。
企業は採用活動だけでなく、入社後の定着にも目を向け、給与、キャリア形成、働き方、マネジメントなど、複数の観点から人材維持に取り組む必要があります。
2026年にベトナム企業が取り組むべき5つのアクション
1. 採用効率の矛盾を解消する
問題が自然に解決されるのを待つのではなく、まず採用プロセスを見直しましょう。
採用活動におけるボトルネックを特定し、候補者紹介までの期間を短縮するとともに、量ではなく質を重視した採用パートナーとの連携に投資することが重要です。
2. 重要人材を失う前に給与水準を見直す
優秀な人材の流出を防ぐためにも、給与水準の見直しを早めに実施する必要があります。
2026年第2四半期(Q2)までに、最新の市場データを活用した給与調査を行い、自社の報酬水準が市場と合っているか確認しましょう。
3. 自社でミドル層人材の育成パイプラインを構築する
将来的にリーダーとなる可能性の高い若手人材を早期に見極め、18〜24か月の中長期的な育成計画を通じて、管理職候補を育てることが重要です。
4. デジタルスキルを採用基準に組み込む
採用プロセスにデジタルスキルの評価項目を取り入れましょう。
また、外部人材との競争が激しくなる前に、既存社員のデジタルスキル向上にも取り組む必要があります。
5. 採用パートナーとの連携を強化する
採用支援会社には、自社の採用背景や求める人物像を十分に共有しましょう。
そして、優秀な候補者が見つかった際には、迅速に選考を進めることが重要です。
今後の展望
2026年に成功する企業は、単純に「より多く採用する企業」ではありません。
より賢く、より速く、そして明確な目的を持って採用できる企業こそが、人材獲得競争を勝ち抜いていくでしょう。
2026年の採用戦略をさらに強化しませんか?
よくある質問(FAQ)
2026年、ベトナム企業が直面する最大の採用課題は何ですか?
主な採用課題は以下の通りです。
- 候補者の給与期待値上昇(86%)
- 技術スキル・専門スキルを持つ人材不足(53%)
- ミドルマネジメント層の不足(39%)
- FDI企業との人材獲得競争(29%)
- 語学力不足(29%)
現在、ベトナムで採用が難しい職種は何ですか?
特に採用が難しい職種は以下の通りです。
- 製造エンジニア(35%)
- 営業・事業開発職(35%)
- 工場スーパーバイザー(33%)
- IT・AI人材(31%)
これらはいずれも未経験者ではなく、一定の経験を持つミドルキャリア層の人材です。
2026年、企業は候補者に何を求めていますか?
企業が重視するポイントは以下の通りです。
- 実務経験(82%)
- 長期的な就業意欲(71%)
- 給与条件の適合(61%)
- 企業文化との適合性(49%)
- 英語力(39%)
学歴や資格だけではなく、実際の業務経験と長期的に働く意思が、より重視される傾向になっています。
ベトナム企業は採用支援会社に何を期待していますか?
企業が採用支援会社に求めていることは以下の通りです。
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より迅速な候補者紹介(80%)
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給与相場や市場動向に関する情報提供(69%)
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企業文化との適性確認(49%)
企業は単なる履歴書の紹介先ではなく、戦略的な人材アドバイザーとしての役割を採用支援会社に期待しています。
著者について
Valerie Ong(バレリー・オン)Reeracoen Singapore Regional Marketing Manager
Valerieは、東南アジア地域におけるReeracoenのコンテンツ制作および市場分析を担当しています。採用市場のデータ、給与水準に関する調査、人材市場のトレンドを、企業やビジネスパーソンが実際の採用活動やキャリア形成に活用できる情報へと落とし込むことを専門としています。
また、Reeracoenの専門採用コンサルタントと連携し、採用市場に関するデータや知見をもとに、企業・求職者双方へ実践的な情報を提供しています。
これまで、Reeracoenが独自に実施する以下の調査・レポートの作成にも携わっています。
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年次給与ガイド(Salary Guide)
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採用動向調査(Hiring Pulse)
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採用担当者向け調査(Hiring Manager Survey)

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