昇進は本物?それとも"肩書きだけ"?2026年、ベトナムで働くビジネスパーソンのための見分け方

昇進は本物?それとも"肩書きだけ"?2026年、ベトナムで働くビジネスパーソンのための見分け方
昇進は本物?それとも"肩書きだけ"?2026年、ベトナムで働くビジネスパーソンのための見分け方
著者:Valerie Ong
Reeracoen Group 地域マーケティングマネージャー
昇進して役職名が変わったものの、給与も仕事内容も以前とほとんど変わらない。そんな経験をしたことはありませんか。一見するとキャリアアップに見える役職変更でも、実際には責任や待遇が伴っていない「肩書きだけの昇進」である可能性があります。
「肩書きだけの昇進」とは、給与・権限・担当範囲の拡大を伴わないまま、役職名だけが引き上げられることを指します。近年、ベトナムの企業環境でもこのようなケースが増えています。
特に給与予算に制約がある企業では、昇給や待遇改善の代わりに、役職変更を人材流出を防ぐための手段として活用することがあります。しかし、こうした状況に気づかないままでは、実際の市場価値やキャリアアップの機会を見失い、長期的にキャリア形成へ影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、現在の昇進が実質的なキャリアアップにつながるものなのかを判断するためのポイントと、もし「肩書きだけの昇進」だった場合に取るべき対応について解説します。
「肩書きだけの昇進」とはどのような状態か
「肩書きだけの昇進」は、必ずしも意図的に行われるものや、企業側に悪意があるものとは限りません。
組織変更や役割拡大に対して、予算面での調整がまだ追いついていないケースもあります。また、将来的な昇給を前提とした一時的な対応として役職だけが先に変更される場合もあります。
一方で、待遇や権限を変えずに、低コストで優秀な人材を引き留めるために、意図的に役職名だけを引き上げるケースもあります。
では、自身の昇進が実質的なものなのか、それとも「肩書きだけの昇進」なのかを判断するには、以下のポイントを確認しましょう。
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新しい役職になった後も、基本給の上昇率が5%未満である
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上司やレポートライン、意思決定権、予算管理の範囲が以前と変わっていない
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新しい役職名が、業界における一般的な職位や給与水準と一致していない
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直属のチームや上司以外には、役職変更が正式に共有されていない
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目標設定やKPIが、昇進前と同じ内容のままである
本当の判断基準:実際に何が変わったのか?
本当の昇進かどうかを見極めるには、「役職名が変わったか」ではなく、「実際に何が変化したのか」を確認することが重要です。
実質的な昇進には、以下5つの要素のうち少なくとも3つが含まれています。自身の昇進が本当のキャリアアップにつながるものか判断する際の基準として活用してください。
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項目 |
実質的な昇進 |
肩書きだけの昇進 |
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報酬 |
基本給が10〜30%増加、または賞与が大幅に増加する |
給与の増加が0〜5%程度、または役職名の変更のみ |
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権限 |
新たな意思決定権、予算管理権限、承認権限が与えられる |
以前と同じ権限範囲のまま |
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担当範囲 |
チーム、担当エリア、業務領域、顧客範囲が拡大する |
担当範囲は変わらず、名称だけが変更される |
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市場での評価 |
新しい役職レベルが業界の一般的な基準と一致している |
社内独自の役職名で、社外では評価基準が分かりにくい |
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キャリア上の可視性 |
社内外のプロフィールやシステムで正式に公開される |
非公式な共有、または社内のみで認識される |
※Reeracoen Vietnamの給与ベンチマークデータおよびHiring Manager Survey 2025–2026をもとに作成した判断基準です。
なぜ、この問題は想像以上に重要なのか
昇進したにもかかわらず、給与や待遇がほとんど変わらない場合、短期的な金銭面での影響は分かりやすいものです。
しかし、本当に注意すべきなのは、時間が経つほど表面化するキャリアへの影響です。
転職活動をする際、現在の役職と給与水準は、次のオファー条件を決める際の基準になります。
例えば、「シニアマネージャー」という役職で2年間働いていたとしても、市場ではアソシエイトマネージャー相当の給与水準であれば、企業から提示されるオファーは役職名ではなく、これまでの給与水準を基準に設定される可能性があります。
つまり、実態を伴わない昇進は、将来的な転職市場での評価や年収アップの可能性を長期間にわたって制限してしまうことがあります。
Reeracoenの給与ベンチマークデータ(2026年第1四半期)によると、ベトナムでは同じ業界・同じ役職であっても、これまでのキャリア形成の質や経験年数によって、最大40%の報酬差が生じています。
その中でも低い給与水準に留まっている人材には、「役職だけが先に上がり、給与や市場価値が追いついていないポジションに長く留まっていた」という傾向が見られます。
肩書きだけの昇進だった場合に取るべき対応
まずは上司と率直に話し合う
最初に行うべきことは、上司と率直かつ建設的な話し合いの機会を設けることです。
その際は、「会社の意図を疑う」という伝え方ではなく、「現在の市場水準と自身の給与にどのような差があるのか」という観点で話を進めることが重要です。
給与相場のデータを根拠として活用することで、より客観的な話し合いができます。ReeracoenのSalary Guide 2025–2026では、ベトナム市場における職種別・役職レベル別・業界別の給与水準を確認できます。
会話例:
「今回の新しい役割で担当している業務や成果を誇りに思っていますし、今後も責任を持って取り組んでいきたいと考えています。そのうえで、現在確認している市場水準をもとに、業界におけるポジションレベルに見合った報酬について相談させていただきたいです。一度お時間をいただき、詳しくお話しすることは可能でしょうか。」
改善に向けた期限を明確に設定する
話し合いの際には、具体的な次のステップと期限を決めずに終わらせないことが大切です。
「年末に見直します」という回答は、具体的なスケジュールとは言えません。
一方で、「6月の評価面談で給与について再度確認し、7月1日までの調整完了を目標とする」というように、時期と目標を明確にすることが重要です。
合意した内容は、メールなどで記録として残しておきましょう。話し合い後の簡単な確認メールでも十分です。
外部市場での自身の価値を把握する
会社との話し合いが良い結果につながるかどうかに関わらず、現在の役職やスキルに対して、市場がどの程度の給与水準を提示しているのかを把握しておくことが重要です。
今すぐ転職を考えていない場合でも、専門分野に精通した人材紹介会社のコンサルタントに相談することで、オンラインの給与調査だけでは得られない、より実態に近い市場情報を得ることができます。
6か月経っても状況が変わらない場合は、真剣に検討する
給与調整を伴わない昇進を行う企業は、あなたの貢献をどのように評価しているのかを示す一つのサインでもあります。
率直な話し合いを行ったにもかかわらず、一定期間内に状況が改善されない場合は、転職市場での評価を確認することも有効な選択肢です。
2026年第2四半期のベトナム採用市場は引き続き活発で、特にBFSF、製造業、テクノロジー分野では人材需要が続いています。
よくある質問(FAQ)
ベトナムでは「肩書きだけの昇進」は違法ですか?
いいえ。ベトナムでは、企業が役職名に合わせて給与を調整する法的義務はありません。
給与の変更は、役職名ではなく、雇用契約や社内規定に基づいて決定されます。そのため、昇進後に給与が変更されず、契約上の昇給義務が定められていない場合、企業側の対応は法的に認められています。
このような場合において、従業員が交渉材料として持つべきものは、法的な権利ではなく、市場における自身の評価や会社との雇用関係です。
ベトナムで実質的な昇進をする場合、給与はどの程度上がるべきですか?
Reeracoen VietnamのSalary Guide 2025–2026によると、ベトナムにおける実質的な昇進では、一般的に以下のような給与増加が見られます。
- 非管理職から管理職への昇進 :基本給15〜25%程度の増加
- 管理職内での上位ポジションへの昇進:基本給10〜20%程度の増加
一方で、役職名が変わったにもかかわらず、給与増加が5〜10%未満の場合は、実質的な昇進ではなく、形式的な役職変更である可能性を示すサインと言えます。
昇進を受け入れた後でも、給与交渉はできますか?
はい。多くの方が考える以上に、昇進後の給与について改めて相談するケースは一般的です。
昇進時に給与について話し合わなかった場合でも、「交渉の余地がないと言われた」「話を切り出すタイミングを逃した」といった理由であれば、次の適切なタイミングで見直しを相談できます。
例えば、以下のような機会が挙げられます。
- 人事評価のタイミング
- 重要なプロジェクト完了後
- 新しい役割を開始して90日程度経過した時点
その際は、昇進条件を改めて交渉するのではなく、「現在の役割や市場水準に合わせた報酬調整について相談したい」という形で話を進めることが重要です。
外部から見ると魅力的な役職名ですが、給与が低い場合は転職すべきですか?
給与差が大きく、改善につながる明確な道筋が見えない場合は、転職を含めて真剣に検討する価値があります。
市場水準を下回る給与で高い役職名だけを持っている場合、転職時の給与交渉では不利になる可能性があります。企業側が役職名ではなく、現在の給与水準を基準にオファーを判断することがあるためです。
ただし、その役職名によって、社外取締役や業界イベントでの登壇、業界団体での活動など、給与以外のキャリア価値につながる機会が得られる場合は例外です。
面接で現在の給与について聞かれた場合、どのように説明すればよいですか?
正確かつ自信を持って伝えることが大切です。
現在の給与について説明する際は、「担当範囲や責任が拡大している一方で、給与水準がそれに追いついていない」という事実を伝え、応募ポジションに求められる市場水準に見合った報酬を希望していることを説明するとよいでしょう。
経験豊富な採用担当者であれば、このような背景はすぐに理解してくれるはずです。こうしたケースは、想像以上に一般的です。
2026年、あなたの市場価値を確認してみませんか?
現在の給与について交渉したい方も、転職市場でどのような評価を受けられるのか知りたい方も、Reeracoen Vietnamのコンサルタントが、最新の市場データをもとに客観的なキャリアアドバイスを提供します。
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著者紹介
Valerie Ong
Reeracoen Singapore 地域マーケティングマネージャー
Valerieは、東南アジア地域におけるReeracoenのコンテンツ制作および市場分析を担当しています。
採用市場データ、給与ベンチマーク、人材市場のトレンドをもとに、企業や求職者にとって実用的な情報を提供するため、Reeracoenの専門領域に特化した採用コンサルタントと連携しています。
執筆・分析活動は、Reeracoen独自の調査データである年次Salary Guide、Hiring Pulse、Hiring Manager Surveyなどを基にしています。
参考資料

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