ベトナム人材が企業に求める“給与以上の価値”(2026年)
ベトナム人材が企業に求める“給与以上の価値”(2026年)
成功の再定義:いまベトナムの労働市場で重視される価値
長年、ベトナムのプロフェッショナルにとって主なモチベーションは「給与」と「雇用の安定」でした。しかし2026年を迎える現在、静かな変化が起きています。
特にミレニアル世代やZ世代を中心に、単なる給与以上のものを求める動きが強まっています。彼らが重視しているのは、「仕事の目的意識」「柔軟性」「組織への帰属意識」です。
Reeracoen × Rakuten Insight APAC Workforce Whitepaper 2025によると、ベトナムのプロフェッショナルの72%が「個人的な意味や社会への貢献」が企業にとどまるかどうかを判断する重要な要素になっていると回答しています。
この変化は、企業が従業員エンゲージメントを考える際に、金銭的報酬だけでなく人を中心とした価値観を重視する必要があることを示しています。
給与よりも目的:意義ある仕事の重要性
ベトナムの新しい世代の働き手は、社会的意義や企業倫理と自分の価値観が一致していることを重視しています。
パンデミックや急速なデジタル化を経て、従業員は「どこで働くか」だけでなく、「なぜ働くのか」という問いを持つようになりました。
- ベトナムのプロフェッショナルの4人に3人が、企業は「社会にポジティブな影響を与えるべき」と考えています。(Reeracoen APAC Whitepaper 2025)
- 68%が、自分の価値観に合うのであれば給与が低くてもその仕事を選ぶと回答しています。(PwC Southeast Asia Workforce Report 2025)
実際には、次のような企業に魅力を感じる従業員が増えています。
- 地域社会への取り組みやサステナビリティ目標に貢献している
- 透明性の高いリーダーシップと公正な待遇を実践している
- マーケティングのスローガンだけでなく、企業価値を実際の行動で示している
CSRとサステナビリティが定着率を高める
企業の社会的責任(CSR)は、もはや単なるブランディング施策ではなく、人材定着を左右する要素になっています。
特に若い世代のプロフェッショナルは、企業の信頼性を社会的インパクトと結びつけて評価する傾向があります。
AONの2025年HRトレンドレポートによると、CSRを従業員エンゲージメント施策に組み込んでいる企業は、そうでない企業と比べて1.4倍高い定着率を示しています。
ベトナムで見られるCSR主導の取り組みの例:
- テクノロジー企業による地方の学校へのSTEM教育支援
- 製造業によるESG目標達成に向けた再生可能エネルギーへの投資
- 日系企業による有給ボランティア休暇制度の導入
こうした「社会への還元」の文化は、企業の評判を高めるだけでなく、従業員との感情的なつながりを生み出し、長期的な定着につながります。
柔軟性・成長・メンタルウェルビーイング
ベトナムの労働市場でも、アジアの他国と同様に柔軟な働き方とワークライフバランスへのニーズが高まっています。
LinkedIn Talent Insightsによると、2025年にはハイブリッド勤務や柔軟な働き方を提示する求人が45%増加しました。この傾向は2026年も続くと見られています。
従業員は、固定的な勤務体制や不透明なキャリアパスに満足しなくなっています。現在期待されているのは次のような環境です。
- ハイブリッド勤務や成果ベースの働き方
- 明確なキャリア成長ロードマップとメンター制度
- カウンセリングや「メンタルリチャージ休暇」などのウェルネス支援
世界保健機関(WHO)によると、バーンアウトによる生産性低下はアジア太平洋地域の企業に年間数十億ドル規模の損失をもたらしています。
ベトナム企業にとって、メンタルヘルスへの投資は単なる福利厚生ではなく、戦略的な取り組みといえます。
未来に向けたスキル習得:給与から可能性へ
ベトナムのプロフェッショナルは、学習機会や将来のキャリア形成にも強い関心を示しています。
Reeracoen × Rakuten Insight Whitepaper 2025によると、
- **81%**が2026年までに新たな資格取得やデジタルスキル習得を計画(APACで最高水準)
- **64%**が、企業が有料のスキルアップ支援を提供する場合、より長く勤務すると回答
つまり、キャリアの進展は給与の上昇だけでなく、市場価値の向上でも評価されるようになっています。
先進的な企業では次のような取り組みが進んでいます。
- マイクロラーニングやオンラインアカデミーの提供
- 大学との共同認証プログラムの実施
- 部門を越えたジョブローテーションの推進
ベトナムがインダストリー4.0へと進む中、学習投資を行う企業こそが将来に適応できる人材を確保できるでしょう。
信頼・透明性・傾聴するリーダーシップ
リーダーシップのスタイルは、従業員満足度を左右する重要な要素になっています。
Edelman Trust Barometer 2025によると、ベトナムのプロフェッショナルが雇用主に対して抱く信頼度は**79%**で、政府やメディアよりも高い結果となりました。これは、企業内のリーダーシップが社会的信頼にも影響していることを示しています。
ベトナムで高い評価を得ている企業のリーダーシップには、次の3つの特徴があります。
- 透明性:事業目標や課題をオープンに共有する
- 共感力:危機や変化の中で従業員の状況を理解する姿勢を示す
- 承認文化:個人やチームの成果を公に評価する
これらの要素は安心感と帰属意識を生み出し、従業員が転職を検討する際には小さな給与差以上に大きな影響を与えます。
企業にとっての意味
次世代のベトナム人材は、単に最も高い給与を提示する企業を追い求めているわけではありません。彼らが求めているのは次のような環境です。
- 給与だけでなく、目的意識のある企業文化
- 肩書きだけでなく、信頼できるリーダー
- 安定したルーティンではなく、成長と柔軟性
2026年に成功する企業は、CSR、リーダーシップ、そして学習機会を統合した**従業員価値提案(EVP)**を構築し、理性と感情の両面に訴える組織づくりを行う必要があります。
FAQ:ベトナムにおける従業員モチベーションと定着
Q1. 2026年、ベトナムのプロフェッショナルの主なモチベーションは?
目的意識のある仕事、キャリア成長、透明性のあるリーダーシップが、金銭的インセンティブより重要視されています。
Q2. ベトナムでは離職のスピードが速くなっている?
離職率自体は比較的安定しており(約12〜15%)ですが、オンボーディング不足や目標の不明確さにより、Z世代の早期離職が増えています。
Q3. エンゲージメントを高めるために企業ができることは?
入社後6か月以内に、CSR活動への参加機会、社内表彰制度、メンター制度、キャリアマップの提示を行うことが効果的です。
Q4. 柔軟な働き方は生産性に影響する?
AONやPwCの調査では、明確な目標と裁量が与えられた場合、ベトナムのハイブリッドチームは従来と同等、またはそれ以上の生産性を維持しています。
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著者
Valerie Ong(Reeracoen Vietnam Regional Marketing Manager)
発行
Reeracoen Vietnam(APAC地域を代表する人材紹介会社)
参考資料
- Reeracoen × Rakuten Insight APAC Workforce Whitepaper 2025
- AON Southeast Asia HR Trends Report 2025
- PwC Southeast Asia Workforce of the Future 2025
- LinkedIn Talent Insights Vietnam 2025
- Edelman Trust Barometer 2025 – Vietnam Highlights
- World Health Organization (WHO) Workplace Mental Health 2025 Report
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